『大隅』第47号 大隅史談会(大隅創刊五十周年記念号) 2004.04

 岡崎18号墳 1号地下式横穴墓の出土遺物

 岡崎18号墳は串良町岡崎にある岡崎古墳群中の円墳です。鹿児島大学総合研究博物館では、2002年からこの古墳の発掘調査を継続的に実施してきました。年代は出土した土器から古墳時代中期中葉、西暦5世紀前半に築造されたことがわかりました。
 ここでの大きな成果は2つ。一つは古墳の墳丘裾部で土器を用いた祭祀空間を発見したこと、そしてもう一つは古墳に付随する地下式横穴墓を確認したことです。 
 地下式横穴墓は南九州独特の墓です。これはまず竪穴を掘り、そこから横向きに墓室を掘り込んで造った墓です。同時代には盛り土で墳丘をつくり、その上部に埋葬部を設けた前方後円墳に代表される古墳が全国的に一般的ですが、これとは根本的に埋葬原理が異なるものです。岡崎18号墳には地下式横穴墓が3基付随するようで、そのうちの1基を2003年夏に調査しました。
 そして、ここではいくつもの新しい発見がありました。まず、年代が確実にわかる最も古い段階の地下式横穴墓で、そして規模は大隅では最大であることがわかりました。中からは地下式横穴墓では初めて花崗岩製の石棺が見つかり、鉄製品が副葬されていました。
 鉄製品には剣が3本、鉄斧・刀子・鑷子・鉄□、U字形鋤鍬先が各1点ずつありました。この中でも鉄□とU字形鍬鋤先はとくに注目できます。鉄□は朝鮮半島製の鉄製品で、鉄の地金やあるいは交換財などではないかと考えられるものです。またU字形鋤鍬先は5世紀半ば以降全国的に広く分布するようになりますが、岡崎で出土したものは同形のものでも最も古い初期段階のもので朝鮮半島製の可能性の高いものです。
 祭祀に用いたと見られる須恵器も鹿児島県外から持ち込まれたものですから、岡崎に葬られた首長は志布志湾から海を介して、朝鮮半島をふくむ遠くの地域の人々とも交流をもちながら、当時のさまざまな最新の情報・文物に接していた人であると考えられます。
 岡崎18号墳の発掘調査をとおして、肝属平野に古墳を造った人たちの広範で活発な活動と社会的な構造がわかりつつあります。肝属平野にはほかにもたくさんの古墳があります。そこには1600年近く前の人々の活動の記録が眠っていることに思いをよせて、これからも大切に見まもり続けたいものです。

  鹿児島大学総合研究博物館
                            橋本達也