下図は、いつの時代の、どのような種類の岩石がどこに分布しているかを示した図(地質図)です。 鹿児島県内には海溝や大洋底に堆積した白亜紀の堆積岩(緑色と黄緑色)や古第三紀の堆積岩(橙色)が広く分布しています。これらの堆積岩は、時代が古くて硬い。特に硬くて締まった砂岩は砕石として使われています。ただ、泥岩の中には片状に剥がれやすいものもあって、地すべりを起こすことがあります。 大隅半島の南部や高隈山、薩摩半島北部の紫尾山などは、およそ1400万年前に白亜紀・古第三紀堆積岩の中に割って入ったマグマが地下深くで固まった深成岩(赤色)です。その大部分は墓石などの石材に多用されている御影石と同じものです。 これらの古い堆積岩や深成岩の周辺には600万年前以降に噴出した火山岩や湖あるいは海岸平野や沖合の海に堆積した堆積岩(薄黄色)が分布しています。菱刈や串木野の金はこれらの岩石を割って入った熱水から沈殿したものです。 図の大半を占めるピンク色は姶良カルデラなどから噴出した火砕流堆積物—シラスです。噴出した時期は数十万年前〜数千年前で、締まりが良さそうに見えますが大雨が降るとがけ崩れを起こします。 霧島山や桜島、開聞岳、指宿火山群は、シラスが噴出してできたカルデラの外縁やその周辺にあって1,000m級の独立峰をなす活火山(茶色)です。そこから噴出した降下火砕物や火砕流、あるいは溶岩流がしばしば山麓の集落を襲います。大雨が降るとそれらは洪水となって被害はさらに広がります。 鹿児島は土砂災害に襲われやすい土地柄です。梅雨前線が停滞しやすく、梅雨末期にしばしば集中豪雨に見舞われます。また、洋上で発達した台風によって直接襲われることもあります。 鹿児島県がまとめた「県内の災害情報」を読むと、東日本に比べると地震や津波による被災の記録は少ないのですが、存在しないわけではありません。やはり警戒する必要があるのです。