マグマが地表に噴出し、あるいは地表近くに貫入し、火道の周りにマグマやその破片が累積して生じた地形的高まり、もしくは、爆発的噴火で地表付近が吹き飛ばされ、あるいは陥没して生じた窪地のことを火山といいます。 火山には寿命があります。日本列島では、年齢が100万年を越える火山はまれです。古い火山の多くは、噴火しなくなると、侵食されて原形を失い、やがてはその周囲に集積した砕屑とともに地層の中に埋もれてしまうこともあります。普段、私たちが、目にする火山は若いのです。 若い火山は、繰り返し噴火しては災害をもたらします。噴火を防ぐことはできませんが、事前に噴火することがわかれば対策もとれますから、噴火予知は重要です。そのために、気象庁は、「おおむね過去1万年以内に噴火した火山および現在噴気活動が活発な火山」を「活火山」と呼んで、これを監視しています。 鹿児島では、北に霧島があり、そこから南西に向かって、米丸、住吉池、若尊カルデラ、桜島、池田湖、開聞岳、薩摩硫黄島、口之永良部島、トカラ平瀬、口之島、中之島を経て、諏訪之瀬島まで活火山が連なります。諏訪之瀬島さらに南西に向かうと、沖縄県に入って、トカラ列島南端の硫黄鳥島があり、西表島北北東にも海底火山があります。 これら活火山の周辺には100万年前よりも若い火山がたくさんあります。南北方向に延びる断層に沿って沈降を続ける鹿児島湾などの凹地(鹿児島リフト)に沿って連なる加久藤カルデラや小林カルデラ、姶良カルデラ、阿多カルデラ、鬼界カルデラは、50〜60万年前よりも若くて規模の大きな火山で、大量の火砕流を複数回噴出したことで知られています。鬼界カルデラが最後に火砕流を大量に噴出したのは約7千年前で、現在も活発に活動を続ける薩摩硫黄島は鬼界カルデラの外輪山のひとつ
です。姶良カルデラで大量に火砕流を噴出したのは約3万年前ですが、その地下には現在も生きたマグマ溜まりがあって、それが桜島のマグマの給源になっているといわれています。これらのカルデラは決して活動を停止したわけではなさそうです。 このような情報は、産業技術総合研究所地質調査総合センターが公開している以下のサイトで入手できます。日本の第四紀火山では美しい写真もご覧頂けます。
桜島や霧島については 2万5千分の1縮尺の火山地質図が、開聞岳や池田湖については 5万分に1地質図幅「開聞岳」があります。これらの地質図は、地質図Navi(詳細版)でご覧いただけます。
桜島昭和火口からあふれ出た極めて規模の小さい火砕流 (2012年5月24日 鹿野和彦 撮影)